明治学院大学ボランティアセンター  /  センターの活動  /  【東日本大震災】「Do for Smile@東日本」プロジェクト  /  吉里吉里ブログ  /  2019年8月 ふるさと科(明学・大槌町吉里吉里復興支援プログラムブログ)

明学・大槌町吉里吉里復興支援プログラムブログ

2019年10月1日

2019年8月 ふるさと科(明学・大槌町吉里吉里復興支援プログラムブログ)


初秋の季節とは言え暑い日が続きますが皆さまいかがお過ごしでしょうか。
ブログの更新が遅れてしまったことを深くお詫び申し上げます。
8月26日(月)~8月30日(金)に行われたふるさと科の活動についてご報告いたします。

8月26日(月)
8月24日(土)~25日(日)にかけて吉里吉里地区全体で行われた天照大神御祖神社例大祭のため、小学校は振替休日でした。そのため、この日は翌日から始まる授業に向けた準備を中心に行いました。
午前中は、ふるさと科の授業内でインタビューイーとなる地域の方にご挨拶に伺いました。毎年お世話になっている方ということもあり、打ち合わせはスムーズに進みました。また、滞在中は自炊のため、食材の買い出しに行きました。
昼食をとった後、浪板交流促進センターへ向かいました。(以下、交流センター)交流センターでは翌日の授業で行う○×クイズを作成し、流れを確認しました。小学校で実際に授業を行う活動であるため、注意事項や進行上のポイントなどを必ず確認するようにしています。

8月27日(火)
この日からふるさと科の授業が始まりました。ふるさと科一日目は、吉里吉里カルタや○×クイズをして楽しみながら吉里吉里の文化や慣習に興味を持ってもらうことから始めます。普段から吉里吉里カルタで遊んだことがある子どもたちは、私たちでは歯が立たないくらい素早く札を取っていきます。しかし、○×クイズで詳しい意味を問題に出されると、知らない子どもの方が多くいることに驚かされました。普段耳にしたことはあっても自分たちは使うことがないような言葉はあまり知らないようです。特に郷土料理については、見たこともない子どもたちがほとんどでした。方言よりも生活慣習の方が子どもたちの生活には馴染みが薄いものになっているように思いました。また、知っていると思っていても意味を間違って覚えている言葉もあり、「えっ!そうなの!」と驚いた様子も何度か見られました。
カルタやクイズなどを楽しみながら、知らない言葉やものを発見することができたら、2日目のインタビューに向けて質問を作成します。○×クイズで自分の知らない用語を確認できたこともあって、スムーズに質問を挙げることができていました。しかし、カルタには「オノマトペ」など、小学3年生にとっては難しい単語も含まれています。方言以外で知らない言葉はその場で説明して解決するようにしています。十数分もすると、ほとんどの子どもたちが用意したプリントの裏まで書き進みました。インタビューするのに十分な数の質問が出たため、次の日の予告をして1日目の授業は終了しました。
午後は大槌町文化交流センター(通称「おしゃっち」)にて資料を閲覧し、吉里吉里の文化について各自知識を深める時間と想定していました。しかし閉館日であったため、予定を変更して付近の城山公園体育館へ登りました。城山公園体育館は高台に位置し、東日本大震災の際には多くの人が避難してきた場所です。現在は、身元不明者の納骨堂と、阪神淡路大震災の際に設置された「1.17希望の灯り」を種火にした「希望の灯り」などがあります。また、東日本大震災以前の大槌町の航空写真が設置してあり、現在の町の様子と見比べることができました。歩いているとかなりの数の建物が建ったように思えましたが、以前と比べると空き地や建物同士の間隔も大きくなっていました。
その後は鵜住居にある「釜石祈りのパーク」と「釜石鵜住居復興スタジアム」等を見学するメンバーと吉里吉里公民館にて婦人会のお手伝いをするメンバーに分かれて行動しました。
私は婦人会のお手伝いをさせていただくため、吉里吉里へ戻りました。その日は町内会の名簿が載った冊子を作る作業をすると言うことで、そちらに参加させていただきました。談笑しながら作業していると、あっという間に冊子が完成しました。
鵜住居に向かったメンバーは「釜石祈りのパーク」にて、東日本大震災に関連した資料を閲覧しました。後で感想を聞いたところ、一番印象に残ったのは「命てんでんこ」という言葉だそうです。「てんでんこ」とはてんでんばらばら、つまり各々、バラバラという三陸地方の方言です。「津波の際に、それぞれ逃げて命を守りなさい」という標語としての意味も持ちます。そのメンバーもこの言葉はよく知っていましたが、一緒に添えられていた「互いを信じてそれぞれが逃げる」というメッセージが心に残ったそうです。

8月28日(水)
ふるさと科2日目は、地域の方をお呼びして分からないことや知らない言葉についてインタビューを行いました。様々な分野の質問に答えていただくため、男性と女性一名ずつにインタビューをお願いしました。インタビューが始まると、多くの子どもたちが勢いよく手を挙げてくれました。授業の前に質問をするときのマナーを確認していた甲斐あって、丁寧な言葉で質問し、答えていただいた後にはしっかりとお礼ができていました。話を聞きながらメモをとることは3年生には少し難しいと思い、質問ごとに少し時間を取るようにはしていましたが、想定より上手く話を聞きながらのメモができていました。地域の方は質問されたことについて、ご自身の生活や経験と共に語ってくださりました。もちろん子どもたちにとっては新鮮なことばかりでしたが、ふるさと科経験者である私たちや担任の先生も初めて聞く話があり、更に学びが深まりました。子どもたちは前日に用意した疑問を解消するため、時間いっぱいまで地域の方を質問攻めにしていました。
最後に子どもたちと地域の方に感想を聞きました。子どもたちは「今日知ったことを家でも話したい。」「聞けなかった質問はおじいちゃん、おばあちゃんに聞いてみる。」と、ふるさと科の勉強に意欲を見せてくれました。地域の方は「今日勉強したことを是非使ってみて欲しい。きっとじいちゃん、ばあちゃんは喜ぶと思う。」「普段あまり交流しない世代としては、ふるさと科が子どもたちを知る機会でもある。この場で知った子たちを見かけたら何か困っていないか、危ないことをしていないか、見守ることができる。」と話してくださりました。吉里吉里の文化を勉強しながら世代間交流を図ることを一つの目的としている本活動において、地域の方からこのような感想を頂いたことは大きな意味があると思います。
通常通りのふるさと科では2日目はここで終了するのですが、今年は担任の先生のご提案で、そのまま絵日記の構想に入りました。聞いたばかりの知識をすぐにかたちにできるので、子どもたちの作業の進みも例年より良かったように思います。また、勉強して分かったことだけでなく、勉強した感想や自分が思ったことなどを盛り込んだ文章が書けていました。完成までは至りませんでしたが、同じ日にインタビューと絵日記を実施したことで、学習を通して子どもたちが感じたことをしっかり表現出来たのではないかと思います。
午後は、わかめの芯さきの作業を体験させていただきました。わかめの芯さきとは、わかめの茎の部分と葉の部分を分ける作業のことです。見ている分には簡単なように感じますが、実際にやってみるとなかなかきれいに分けることができず、途中で切れてしまいます。作業をしながら皆さんとお話させて頂いたのですが、実際に吉里吉里弁を使っていらっしゃるのを聞くことができました。また、わかめの元の部分のお漬物などを試食させて頂き、思った以上にシャキシャキした食感と豊かな海の風味に驚きました。
ふるさと科の活動では私たちも吉里吉里弁を聞いたり、郷土料理を食べたりなど吉里吉里の文化を体感できる機会が多く、学ぶことが本当に多いです。

8月29日(木)
ふるさと科最終日は、絵日記の完成の後、発表会を行いました。
発表会では、堂々と自分の学んだことについてみんなに伝えられていたと思います。同じテーマを選んだ子も何人かいましたが、それぞれに注目した視点や、感じたことが違っていて、子どもたちの素直な感想を聞くことができました。また、発表が終わるごとに他の子どもたちから感想や質問を聞く時間を設けました。子どもたちからは「知ったことを誰に教えたいですか。」「どうしてその絵札を選んだのですか。」など更に深掘りする質問が挙がりました。思いもよらなかった質問に戸惑っている様子もありましたが、他の人の視点から改めて自分のテーマを考えることができ、より学びを深める時間となったと思います。
発表会が終わり、最後の時間には交流会を行いました。子どもたちからのリクエストがあり、ドッジボールをすることになりました。学生と子どもたちの混合チームで行った2試合は大盛り上がりで、全員が汗だくになるまで白熱しました。あっという間に最後の時間も終わり、最後の挨拶をしようとすると、子どもたちからサプライズで感謝のお手紙をくれました。「3日間ありがとうございました!」という言葉と共に一生懸命書いてくれたであろう似顔絵と、心のこもった文章を読んだときはあまりにも嬉しく、泣いてしまいそうになりました。子どもたちにも最後に伝えましたが、この3日間で新しく知ったことをきっかけに更に興味を持って調べてみたり、お友達やご家族に教えたりして欲しいと思います。
午後は、吉里吉里公民館にて郷土料理である「こまこま汁」を地域の方に教わりながら作りました。こまこま汁は、大根やにんじんなどの野菜、薩摩揚げやちくわなどの練り物、その他豆や豆腐などの沢山の具材(具材は家庭によって異なり、決まりはないようです)をさいの目に細かく切って入れた汁物です。同じ大きさに切った具材は火の通りにくいものから昆布のだしが出た汁に順にいれ、みりんや塩、砂糖、醤油で少し甘く味付けます。具だくさんで優しい味のこまこま汁は、小正月(亡くなった方のための正月のこと。1月16日)に振る舞われるそうです。完成したこまこま汁は、地域の方が持ち寄ってくださったキュウリやお漬け物と一緒においしく頂きました。味付けはそれほど濃くありませんが、野菜や練り物、甘く煮た豆から出たうまみや甘みが合わさって、とても奥深い味わいでした。この郷土料理作り体験のように、ふるさと科の勉強で取り扱った内容を実際に自分たちも体験することで、付け焼き刃でない知識をつけるように取り組んでいます。これからも様々な体験をさせていただき、実際に感じた魅力や知識を伝えられるようにしたいと思います。

今回の活動も、吉里吉里学園小学部の皆さまを始め、地域の方々など沢山の方にお世話になりました。本活動にお力添えいただいた皆さまにこの場を借りて感謝いたします。
また、3日間という短い時間が子どもたちにどれほど印象深く残ってくれたかは分かりませんが、吉里吉里には面白い言葉や素敵なものが沢山あるんだな、と感じてもらえた瞬間があれば大変嬉しいです。
まだまだ天気の安定しない日々が続きますが、お体に気をつけてお過ごしください。

社会学部社会福祉学科3年 諸岡里菜